8/29/2015

iPodとの出会い

以前、TOMOYO Linuxに関する連載をSoftwareDesignに掲載いただいて技術評論社さんから、「SDの記事を執筆いただいている方に、若い技術者への推薦図書を紹介してもらう企画を考えています。ご協力いただけませんか?」と お話をいただいた。「もちろん」ということで、候補を2冊考えたが、最終的に選んだのが「レボリューション・イン・ザ・バレー」。企画は「SD執筆陣が薦めるこの一冊」として実現し、2009年1月号に小冊子として添えられた(自分は今もその小冊子を持っている)。 この頃は、めちゃくちゃ忙しく、原稿は依頼をいただいてから30分くらいで書き下ろした。この画像は、初稿ゲラのPDF。

この号が出た2009年12月の頃には、ジョブズは日本ではあまり知られていなかった気がする。 他のSD執筆者の方々の推薦図書にも、ジョブズやアップル関連の書籍はなかった。

初代のiPodが発売されたのは、2004年。 意外に思われるかもしれないが、iPodは最初はあまり売れておらず、 Windows対応、iTune Music Store開始で普及した。 「iPodをつくった男」によると、以下のような経緯を重ねている。

  • 2002年度1Q(販売開始、最初の四半期) 13万台
  • 2002年度2Q, 3Q 5.7万台、5.4万台
  • 2002年度4Q 14万台(Windowsに対応)
  • 2003年2Q iTunesミュージックストア開始、10万台/月のペースに乗る
  • 2004年1月 iPod mini発表、25万台/月
  • 2004年7月 第4世代クリックホイールモデル 200万台/3ヶ月

iPod miniは、前刀禎明(よしあき)氏の発案による企画で日本での普及を加速した。

「スティーブ・ジョブズさんは"徹底的に考え抜いた"」前刀禎明さん | 制作後記 | クローズアップ現代 スタッフの部屋:NHK

日本限定版CMが作られているが、これは「アップル帝国の正体」によるとアップルとしては異例のこと。 キャッチフレーズは、「Hello iPod, Goodbye MD」。と言っても、今やMDが何かわからない人も多いかもしれない。

「僕は、だれの真似もしない:アップルがつまらなくなったから僕は辞めた (1/4) - ITmedia ビジネスオンライン」

その後、どうなっているかというと、iPhoneの発売によりiPod自体の販売台数は下がっている。 それについて、AV Watchの記事、「iPodは“衰退”した? iPodの歴史から考える音楽プレーヤーのこれから」(2014.8)がまとめている。

冒頭紹介した記事を書いたのはiPodが普及していた2008年だが、その時点で自分はiPodを購入していない。 しかし、iPodの広告を見たときの驚きは鮮明に記憶していて、それについて7年後文章にしたことになる。 広告写真で見たのは、自分が歴代のiPodの中でもっとも美しいと思っているホイールが二重になっている初代。 基本的なデザイン(と美しさ)は第4世代まで継承されていたが、第5世代以降何かが失われてしまったし、 自分は、iPod miniに美しさを感じられなかった。 今、手元にはオークションで購入した第4世代のiPodがある。今となっては大きくて、重いけれど、 いまだに新しく、美しい、そして驚くほど操作性が洗練されている(ジョブズは、「3ステップで曲を聴けるようにしろ」とオーダーしたという)。 ソフトウェアとして、完成されたもので、使うほどにほれぼれする。 そして、この第4世代のiPodは、ちゃんと2015年にiTunesに認識して画像が表示され、動作する (Podcastも使えて驚いた)。

iPodはミュージックプレイヤーの分野を越えて、それ以降の製品に影響を及ぼしている。 「白いヘッドフォン」はiPod以前にはなかったし、(ソースを確認していないが) 「電源スイッチをなくした」のもiPodが最初だったはずだ。

複数の文献、動画で目にしたが、ジョブズは「iPodこそもっともアップルらしい製品だ」と言っている。また、 「iPodはソフトウェアだ」とも。それについて、いずれ紹介する。 ところで、このブログで何度か紹介している西和彦氏は、冒頭紹介した記事に出てくる「月刊ASCII」を出版していたアスキー社の社長となる。 「月刊アスキー」は画像や古書を探したのだが、見つからなかった。「週刊アスキーの月刊版だろ」と思われると、まったく違うので 注意いただきたい(何を?)。

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