8/31/2015

ジョブズが遺したもの

「ジョブズが遺したものは何か」と聞かれたら、多くの人は、「Mac, OSX, iPhone, iOS, iTunesMusicStore」などと答えるだろう。 しかし、意外なところに大きな足跡が残されている。 「インサイド・アップル」他に、ジョブズとディズニーの交渉について書かれている。

話の前提として、ディズニーについて知る必要がある。 まず、ディズニーはニューヨーク市長をイベントのホストにするほどの強大な力を持っている。 そして、ディズニーは、ウォルト・ディズニーの死後、進むべき道を失い、ヒット映画を出せないでいたし、 デジタル化に備えができていなかった。 ディズニーはあまりに有名で、誰もそのビジネスが行き詰まることを考えないが、実際には 白雪姫など過去の名作を食いつぶす状態になっていた。 「ディズニーランドがあるじゃないか」と思うかもしれないが、 ディズニーランドは、映画で知られたキャラクターによるビジネスなので、 映画がヒットしないと行き詰まる。

「インサイド・アップル」から引用する

すでに触れたように、1996年にウォルト・ディズニーが死去したあと、ディズニーの経営陣が長年「ウォルトならどうする?」と問いつづけたことはよく知られている。だが、ウォルト・ディズニー・カンパニーはアップルがまねてはいけない前例である。ウォルトの死後、会社が急激に傾いたからだ。
ディズニーのアニメ映画がまた軌道に乗ったのは、1988年公開の『ロジャー・ラビット』と翌年の『リトル・マーメイド』からだ。 (中略) パラマウントからディズニーに移ったCEOマイケル・アイズナーのもとで2作品は成功したものの、ディズニーはイノベーションの面で大きく立ち遅れた。ジョブズが資金を出したピクサーは、コンピュータを利用したアニメーションの将来に早くから気づいていた。結局、ディズニーがみずから生み出した分野で最新のテクノロジーに追いつくには、ピクサーを買収するしかなかったのだ。

ジョブズに関係なく、ピクサーはトイストーリーを制作する契約を結んでいたが、 その契約は、圧倒的にディズニーが有利なものであった。 ジョブズはトイストーリーの成功により、ディズニーと交渉し、他とはあり得ない内容にする (その具体的内容は後で追記する)。 ディズニーとピクサーの契約内容は、目に見えないが、目に見える変化がある。 ジョブズは、ピクサーのロゴについて、「ディズニーと同じ大きさにする」ことを ディズニーに飲ませた。ディズニーランドでもディズニーストアでも、 あるいは、DVDでも見るとわかる。すべてに「ピクサー」の名前とロゴが 巨人、ディズニーと対等に並んでいる。

このような契約は、巨人ディズニーにとって、屈辱的であり得ないものであり、 ディズニーの経営陣は話を聞いたとき激怒し抵抗したが、それが 株主の怒りを買い、経営陣自体が追い出されることになる。

ピクサーは今はディズニーに買収されているが、 ピクサーのWebページを見てもどこにもディズニーの名前は登場しない。 ピクサーはピクサーとして、名前と尊厳を持ちながら、生き続ける。 ジョブズが意思にしたがって。

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