10/03/2015

「アメリカン・ドリーム」を読んだ

マイケル・モーリッツの「アメリカン・ドリーム」を読んだ。1984年に書かれたこの本は、多くの「ジョブズ本」のネタ帳のような存在で、Macintoshプロジェクトやジョブズのきわめて内部的なエピソードが満載されている。

ジョブズは静かに、ゆっくりと話しはじめた。 「この事業部は、アップルを背負って立つ中枢部門だ。ここに最高の人材を集めて、ほとんどだれもがまだやったことのないことを、やりとげなければならない。わが事業部は、まだ製品といえるものを出荷していないが、それを成し遂げるのだ」

そう前置きしてから、すばやい足どりでパネル台に近づくと、その上のクリーム色の大きな紙に、子供のような時で書かれたいくつかの標語を指しながら、お説教を始めた。 「出荷されるまでは、仕事は終わっていない」と標語の一つを読み上げてから、「解決しなければならないこまかい問題は無数にある。六カ月前には、わが事業部にそれができる、とはだれも信じていなかった。今では、だれもがわが事業部の成功を信じている。会社はリサを何台か売るだろうが、アップルの未来はマックにかかっている」とつづけていった。

さらに紙を一枚めくって、次のスローガンを指さし、「妥協するな」と読んだ。話は、こんどのコンピュータの発表予定日に移り、「急いでできそこないを発表するよりは、期日を遅らせるほうがまだましだ」といって、ちょっと言葉を切ってから、「しかし、予定を遅らせるつもりはない」と断言した」。

もう一枚、紙をめくり、「苦労というものは、した甲斐がある」と読み上げ、先を予言するような口調で「五年もしてから現在のことをふりかえると、きっとだれもが「あのころはほんとうによかった」というにちがいない。みんなわかっていると思うが・・・」とここで声を半オクターブほど上げて、ゆっくりした口調でこう述べた。「この部門こそ、アップルのなかでもっともすばらしい仕事場なのだ。ここは三年前のアップルそっくりだ。このまま純粋性を保ち、適切な人材を雇っていくなら、これからもずっとすばらしい職場であり続けるだろう」

以上の引用は14ページから15ページまでから、引いた。ジョブズ本を読んだことがあれば、おなじみの内容ばかりだろう。この本がリソースとなっている。

なぜ、モーリスはこんな内部の打ち合わせの内容を書けたか不思議になるが、その答えは「レボリューション・イン・ザ・バレー」、p132"The Little Kingdom"にある。

Maintoshの開発は、Apple社内でも秘密の囲いに覆われていたので、数ヶ月後のある日、Steveが「TIME」誌のレポーターのMike Moritzを伴ってBandley 4のソフトウェアエリアに現れた時にはみんな驚いた。Steveは僕に、彼にMacintoshのデモをして、すべての質問に答えるように言いつけた。MikeはAppleについての本を書きたいと思っていて、Macintoshチームを含めた会社全体にアクセスできるよう、Steveを説得したようだ。

「Mikeは俺たちの歴史かになる」とSteveは言った。「だから、みんな、彼には何でも教えてやってくれ。彼をチームのメンバー同様に扱うように。彼は俺たちの話を書いてくれるんだから」。

その後、モーリッツは「TIME」誌の記事について、ジョブズの逆鱗に触れてしまい、プロジェクトに「モーリッツと話をしたら、その場でクビにしてやるからな!」ということになるが、アンディは、

しかし、Mikeが彼の本の仕上げにかかると、何人かはまだこっそりMikeと話をした。ちょうどMacの市場導入の頃だった。本は「The Little Kingdom: The Private Story of Apple Computer」というタイトルで、1984の秋に発売された。20年経っても、これまでApple社について書かれた最も素晴らしい本の一つであり続けている。
と評している。「スティーブ・ジョブズの王国」もまたモーリッツの著作だが、モーリッツの書いた本は奇妙なゆがみを感じさせる。

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